皆様、今日も楽しいTRPGライフをお過ごしでしょうか?
シナリオ執筆中?
素晴らしい! 完成して卓を立てるときは私も呼んでください。
ところで執筆するにあたり、たまにこういうことがあるのではないでしょうか?
- 世界は時に残酷で苦いもの……それをPLに伝えるため、今回はバッドエンドシナリオを書こう。そうしよう。
- PCは苦難にさらされたときにこそ最も輝くのだ! バッドエンド以外勝たん!!
ということで、今回はこれを書いている時にTwitterでトレンディ(死語)な、シナリオのバッドエンドについて。
発信源がわからないこともあり、みなさん見事に論点がバラバラで
「一体、みんな何と戦っているんだ!?」
みたいな有様になってますね。
そんなわけで、今回はシナリオ執筆歴25年のTRPGおじいちゃん・りょーさんが、
『バッドエンドをシナリオに盛り込むポイント』
について解説していきます。
先にお伝えすると、以下の2パターンでポイントが違うのです。
- Failed型→到達率を下げて簡素にしろ
- Sad型→先に言え
ちなみに、分類名は今、私が考えました。
それぞれの定義も説明しますね。
ぜひ、最後まで読んでいってください。
Failed型の定義とシナリオでのコツ
ここでFailed型と呼ぶバッドエンドは、以下のようなものと定義します。
「PCの行動に不足や失敗があった結果として辿り着く、残念な結末」
これが一番多いのは、コンピュータゲームの世界です。
バイオハザードで「You are dead」したり、ノベルゲームで分岐を間違えて惨事になるパターンですね。
で、TRPGでこれを入れる場合……。執筆が無意味になるような、滅多に到達しないエンディングであることが望ましいです。
理由は、「TRPGではコンティニューが困難だから」です。
そもそも、コンピュータゲームでFailed型が多いのは、「あなたは失敗したよ、リトライしてね」というメッセージとして機能するからです。
ロードやコンティニューで過去に戻れるからこそ、PLは、『あそこでミスったからもう一回、その前から』とできますし。
コンプリート派がわざとバッドエンドに進む行為も支障がないわけです。
で。
2023年現在の99%の卓では、このようなコンティニューは想定されないはずです。(ループものシナリオとかの1%? 自力でうまくやってください)
となると、このEDから伝わるメッセージはこうです。
『おまえ失敗したよ! でも取り返し付かないから諦めろ!』
こんなん、喜ぶPLはいないでしょう。
なので、Failed型のバッドエンドは到達PLゼロの方が望ましいのです。
もちろん、戦闘でボスに負ける、みたいに、Failed型バッドエンドをシナリオに記載する場合はあるでしょう。TRPGもゲームですから。
けれど、これに到達するPLが発生しないように、シナリオ本編を作り込むのが良いかと思います。
となると。
このFailed型バッドエンドは、簡素なもので十分です。
シナリオ制作者たる、あなたの時間は有限です。
こんな、まず使わないエンディングを作り込む暇があったら、シナリオ本編を練りましょう。
Sad型は、先に”雰囲気”で伝えよう
Sad型は、Failed型以外の全部。つまり、定義はこうです。
「PCの行動に不足や失敗がなくても辿り着く、ネガティブな結末」
これも、創作の世界には溢れています。
ホラーの金字塔『Ring』では最後に主役が呪い殺されて終わりますし、大河ドラマの6割くらいは主人公が討ち死ぬバッドエンドです。
これの鉄則はただひとつ。
『バッドエンドありだと、きっちり卓募集前に伝える』
これです。
このブログでも頻出する、”雰囲気を伝える”、というやつです。
なお、伝え方には工夫が色々できます。
おや、フワっとしましたね? 説明しますね。
前提として、『バッドエンドを楽しむ受け手は限られる』というのは覚えていてください。
深夜アニメやホラー映画を至高としている人にとっては驚きかもしれませんが。
哀しみや喪失感を残すエンドを楽しめる受け手は限られます。
人数とか割合とか、心の広い狭いはさておきます。
全員ではない、ということを頭に入れるのが大事です。
なので、上手い創作は、Sad型のバッドエンドであることを受け手に早い段階で伝えます。
早めに伝えて、ターゲット外を離脱させ、ターゲットには期待をさせるのです。
逆に言うと、それを伝えなかった結果、ターゲット外の人に不意打ちをかまして炎上、後々まで語り草、というのはTRPGに限らず発生してます。
これは、下手な創作です。
なので、ここからは「Sad型バッドエンドを、どう伝えるか」ですが。
ここは、創作者としての腕の見せ所でもあります。
ただ「うまくやれ」では知恵袋にならないので、いくつか例をあげます。
ひとつは、ジャンルで伝える方法。
シナリオのジャンルがが『人を食い殺す化け物から逃げ惑うホラーもの』なら、エンディングで
「メッチャ人死んだ。悲しい(ピエン)」
と思う人は少ないでしょう。
そう感じる人は、そもそもジャンルを見た時点でバイバイするはずです。
他の例として。
『新選組をやるシナリオ』だと知って卓に参加し。ラストシーンが主役の処刑エンドだったときに、物申すPLは流石にどうかと思うでしょ?
新選組だぞ。処刑エンドか蝦夷で特攻エンドか結核病死エンドの三択くらいだろ。
ジャンルで伝えるってのは、そういうことです。
そうそう。
TRPGで伝えるときは、受け手も踏まえましょう。
「CoCなんだから全滅バッドエンドがデフォルトだろ」は、今は通りません。昔がどうとか、原作のラブクラフト小説とか関係ないです。
伝わらなかったら、あなたが下手なんです。
次の例。
トレーラーで伝えるのも良い手段です。以下のような例ですね。
絶望的な状況のなか、PCたちは家族と恋人の二択を迫られる。
他のPCとも殺し合いかねないその選択が、行き着く結末とは?
これなら、他のPC全員を殺し尽くし、家族も死んで恋人と二人だけになっても、エンディングに文句言う奴はいないでしょう。
だってトレーラーに書いてあるもん。
最後の例。
技巧にこだわらなくていいなら、募集要項にベタ書きできるようシナリオに書いちゃうのが楽です。以下みたいに。
【募集要項】
概要:忍者が2チームに分かれて殺し合う話です
人数:2-4人
日時: (以下略)
自分が回すときは、後に必要な手間を前倒しできて。
他人にシナリオを渡すときは他人の手間を省ける。
大変オススメな手法ですよ。
余談・このブログも……
ところで。
以下のような考えの人は、今これを読んでいますでしょうか?
- PLの想定外の行動でGM(KP)がシナリオを投げ捨て、結果人死にまくりのシッチャカメッチャカになったけど、楽しかったからOKだよな?な?
- シナリオで用意されてたハッピーエンドが、PLのオレにとってクソみたいなバッドエンドだったんだわ……
たぶん、読んでる人は少ないと思います。
なぜなら、このブログ記事はタイトルや序文で、
- シナリオ制作者が
- 意図的に
バッドエンドを組み込むときの話、という”雰囲気”を出しているためです。
このブログ記事の”雰囲気”、うまく伝わったでしょうか?
伝わってねーよバーーカ! みたいな人は、ぜひTwitterやPeing、お問い合わせから一声ください。
ゴメンナサイしにいきますから。
まとめ
というわけで今回は、
『バッドエンドをシナリオで組み込むポイント』
について解説しました。
もし「これが説明されてねーぞバカヤロー!」みたいな方がいれば、ぜひTwitterやPeing、お問い合わせから一声ください。
それでは、明日もよいTRPGライフを。
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