皆様、今日も楽しいTRPGライフをお過ごしでしょうか?
思いついたシナリオを形にするため、執筆作業中? それはすばらしい!
けど、こういうことで困ることもあるのではないでしょうか?
- 自分のシナリオ、敵がいっつも悪代官やチンピラみたいな感じでうすっぺらいんだよな……
- 最高のボスができたぞ! ……PCが戦う理由がないな。どうしよう
そんなあなたに、GM歴25年・その間ずっとシナリオを書き続けてきたTRPGおじいちゃん・りょーさんが、悪役で悩んだときのとっておきの方法を1つお伝えします。
それは、
「悪役を差別主義者にする」
ことです。
TRPGシナリオ、悪のジレンマ
もともと、TRPGの悪役は以下2つの属性とジレンマを抱えています。
- 物語に深みを与える、感情豊かな対立相手
- PCに否定され排除される敵
1つめについて。
一般的に、敵は破壊の権化や狂人であるより、理屈や過去を抱えているほうが、PLに好まれます。
理由はりょーさんの推測になるのですが、おそらく敵が薄っぺらいと、それに伴って没入しているTRPG世界そのものも非現実感が増し、薄っぺらくなってしまうためと思われます。
3回も4回も悪代官を斬り倒していると、こう、「現実味」は失せますよね。そういうことです。
じゃあ、『ジョーカー』ばりに過去と感情を掘り下げれば良いかというと、そうでもありません。
その理由が2つめの話です。
本質的に、TRPGの悪役はシナリオの彩り。
刺身にのってるタンポポみたいな存在です。ないと寂しいですが、PLにとってはPCのほうがよっぽど大事。
なので、悪役の仕事である「PCに排除される敵」がないがしろになると、それはそれでPLの不満の種になります。
長々と理由を語った結果、「なんて可哀想なやつなんだぁ……」となって、スッキリ敵を殴れなくなっては悪役として本末転倒です。
コレは困りました。どう解決しましょう?
それを解決する簡単な方法が、「悪役が差別をする」ことです。
差別って、なにさ?
後出しで悪いのですが、この場では、”差別”という言葉を広めに扱うことにします。
ここでいう”差別”とは、「特定の属性を持つ人を他の人と分け、虐げること」です。
たとえば、以下はすべて”差別”です。
- 炎の能力者を移民船の燃料にし、地球人類を滅びゆく地球から脱出させる
- 豊かな地上民を貧しいコロニー民と対等にするため、地球にコロニーを落とす
- オッサンひとりを生け贄に、死んでしまった3人の美少女を蘇生する
差別対象とそうでないひとのどちらが多いかとか、どちらが裕福かとか、差別の基準とか妥当性は問いません。
OK?
では、「悪役に差別させるのが便利な理由」を説明していきましょう。
便利な理由1:差別の理由から悪役を深掘りできる
差別する悪役がなぜ便利かというと、
「人は殺してはいけないが、XXな人は死んでもいい」
ここに至るには、一定の理由が考えられるからです。
それは、XXな人にかつて大事な人が殺されたから、かもしれません。
それは、XXな人の命を奪うことで、大きな利益が得られるから、かもしれません。
それは、XXな人が生理的にダメだから、かもしれません。
いずれにせよ、その理由は悪役の深掘りになります。
悪役の過去、そう思った理由を考えるのも簡単です。
なので、悪役が差別をすると便利なのです。
便利な理由2:差別はいけないから
現代日本は、身分制度がなく人を平等に扱う国です。
憲法にも書いてありますし、多くのひとの考えがそうです。
なので日本のTRPGプレイヤーの大半は、
「人種や出身や思想で人を差別してはいけない」
という倫理観を持ってくれています。
コレが何を意味するかというと、
「差別する悪役を殴れと言われて、嫌な気持ちになる人は少ない」
ということです。
これがどれだけ便利か、ここまで読んだひとには分かるかと思います。
加えて、”PCのモチベーションを上げる一押し”も簡単です。
差別の対象を、PCやPCの大事な人にすれば良いのです。
例えば。
PC本人が差別の対象なら、たとえ悪役がどれだけ理屈を問うても、そのPCが従いはしないでしょう。だってYESといったら差別されてヒドイ目にあいますから。
他のPCだって、自分が差別対象でなくても、仲間を差別する悪役は許しがたいはずです。
例えば。
オッサンひとりを生け贄に、美少女3人を蘇生する行為は、一瞬”いいかな”と思うPCがいるかもしれません。
けれど、PCの中にオッサンの奥さんがいたらどうでしょう?
オッサンが娘を養うため、毎日働いていることを知っていたら?
オッサンの正体が、春日部市で2児とマイホームを支える商社務めの足のクサいオッサンだと知ったら?
決して、”オッサンだからいいか”と堂々と言える人は少ないはずです。
便利な理由3:あらゆるシナリオに幅広く使える
地球で人が複数人で活動している限り、差別はなくなりません。
つまり、”差別する悪役”はあらゆる時空、あらゆる場所に存在しえます。
うーん、ジェネリック! グローバル! ユニバース!
そして、差別対象である”XXな人”には、あらゆる人が合致する可能性があるので(差別がいけない理由でもあります)、いろいろなシナリオとの親和性も高く、やりたいシナリオに手軽に差し込めます。
つまり、あなたがどんなTRPGシステムを遊んでいようと、”差別する悪役”は簡単に使えるわけです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
”悪役に差別させる”ことの便利さが分かってもらえたかと思います。
悪役に深みを与えるため、差別をトッピングする。
悪役を殴る理由として、差別をトッピングする。
どちらでも、あなたのシナリオ執筆の助けになるはずです。
ぜひ、あなたのシナリオの彩りとして活用してみてください。
最後に大事なことを1つだけ。
差別、ダメ。絶対。
それでは、明日も良いTRPGライフを。
コメント