【上を目指すGM(KP)にぜひ!】描写の順序だけで、こんなに違うマスタリング

 お久しぶりです。
 皆様、今日も楽しいTRPGライフをお過ごしでしょうか?

 おや。まもなくGM(KP)の予定がある?
 日程が近づいているときのドキドキ感、いいですよね!

 けど、セッション中たまにこんなこと、ありませんか?

  • ああっ、突然PLが暴走始めた……ていうか、おまえオレが書いた描写読まずに動いてるだろ! ちょっと落ち着けよ!
  • PCが『オレはその描写の前に、こうしたいんだけど』って言われた。私は駄目なGM(KP)なんだ、しのう……

 まあとりあえず。
 ストロングゼロでも飲んで一息つきましょう。

 酔っ払っていただいたところで。
 これって実は、『描写の順序』のせいかもしれないって、知っていましたか?

 そんなわけで今回は、GM(KP)歴25年のTRPGおじいちゃん・りょーさんが、

『描写の順序だけで、こんなに違うマスタリング』

 について解説します。

 ぶっちゃけ、伝えたいことはひとつ。

『PCがアクションを取りたいタイミングで、一拍置けるよう描写をしよう』

 でも、これだけだとワケ分かんないですよね。
 なので、最後まで読んでいってください。

前提:PLは、『PCになにをさせるか』で頭いっぱい

 表題の通りの、大前提。
 ほぼ100%、PLは、『PCになにをさせるか』で頭がいっぱいです。
 そうでないPLは、とんでもない希少種だと思ってください。

 考えてみれば、当たり前ですよね。
 PLは、自分が一番好みのPCを持ち込んで、『PCで物語を作る』ために卓に座っているからです。

 常に『PCになにをさせるか』を考えているのは、全力でTRPGを楽しもうとしている、とても素晴らしいことです。

 さて、この記事はGM(KP)向けです。
 なので、PLではないあなたは、この前提を頭に叩き込んだ上で『では、GM(KP)として、描写をどうしていくか』を考えていきましょう。

例1:ヒロインを突然撃ち殺そう

 例を出したほうがわかりやすいので、以下のシナリオ描写を読んでみてください。

ゆっくりと通りの向こうに現れる黒い影。

『アディオス、PC1』
そう言って奴は手に持った拳銃の引き金を引いた。

『危ない!!』
女性の叫び声……君が気がついたときには、ヒロインが倒れ伏していた。

 この描写を読み上げた(テキセなら貼り付けた)場合。
 結構な頻度で、こうなるのではないでしょうか。

「待ってくれGM。黒い影が出現したのを見た直後、オレは先制攻撃を仕掛けたいんだが、それができない理由はあるか?」

「うーん。怪しい人影が銃を構えた時点で、ヒロインが大事な我がPC1は、彼女を抱え込むと思うんだけど……」

 はい。困りましたね。
 なにせ、十中八九、あなたの手元のシナリオには『ヒロインが凶弾に撃たれ倒れた』ことが前提のシナリオが書いてあるはずですから。

 え? 『即座にシナリオを投げ捨て、ヒロインが撃たれなかったシナリオをアドリブする?』

 あなた、攻めますね!
 しかしですよ。シナリオを投げ捨てている時点で、あなたは何もない荒野への暴走にPLを突き合わせていることになります。うーん、デンジャラス!

 仮にそれでうまくいったとして、シナリオに書いているであろう『撃たれたヒロインとのエモい会話』は台無しです。
 それがあなたが書いたシナリオなら、こう、寂しくないですか?

 え? じゃあ『ムービーシーンだから従ってくれ、と言う』?

 まあ、次善の策ではありますが。確実にPL冷めちゃいますよね。
 直後に瀕死のヒロインとエモい会話が用意されていても、PLには確実に、

「言うてこれ、ムービーシーンだしな……」

 みたいな気持ちはよぎるでしょう。
 一言でいうと『茶番感』ってやつです。

 これを簡単に解決できるなら、そのほうがいいでしょう?
 知りたいですよね?
 知りたいって言え(強制)。

 そんなわけで、描写の順序を入れ替えてみます。

『危ない!!』
 何の予兆もなかった。
 ヒロインが君をかばい、直後にヒロインが撃たれた。

 銃声の先を見ると、先程まで気配すらなかった怪しい影が、拳銃を構えている。

「なんと。よく感づいた……実に不思議だ。『愛の力』というものかな?」

 そう言って、嫌らしい笑みを影は浮かべた。

 ちょっと印象変わりますよね。
 さっき挙げた『困った割り込み』は、起きづらいのではないでしょうか?

 大きく違うのは、『ヒロインが撃たれるまでの余地』です。

 最初の例では、怪しい影が「ゆっくりと現れ」、そして「『アディオス、PC1』と言ってから」銃を撃っています。
 そんな暇あるならなんかできるやろ、とPLが感じるのは自然なことです。

 一方このシーン描写では、いきなり撃たれたところから始まります。
 加えて、『何の予兆もなかった』『先程まで気配すらなかった』という描写で、”絶対にアクションできなかったのだ”という予防線を張っています。

 このように、

  • アクションを取ってほしくない描写を、先に持ってくる
  • それが成立するよう、描写を足す

  このように描写を伝えることで、一気に『シナリオ通りの展開』にセッションを持っていきやすくなるわけです。

例2:ヒロインを生贄に捧げよう

「そうか、なるほど! わかったよ!」
「これからボクは、ヒロインをナルハヤでヒドイ目に合わせるよ!」

 違う、そうじゃない。
 そうじゃない例が、次です。

 ついにたどり着いた最奥の部屋では、PC1が愛するヒロインが祭壇の奥にはりつけにされていた。

 周囲には蛇をかたどった禍々しい装飾がほどこされ。
 祭壇にはバラバラにされた血みどろの羊が並んでいる。

 そんな中、ゆっくりと司祭が現れる。

「ようこそ、PC1。今こそ我が大願は果たされる」

 はい。
 あなたがPC1のPLなら、どうしますか?

 私なら、1行目を見た時点でこう宣言します。

「『ヒロイン、今助けるぞ!』 ヒロインに駆け寄ります!」

 『司祭が間にいるだろう』とか、たぶんGM(KP)に即ツッコミされますが。
 それでも関係なく言います。

 なぜなら私はアホなので、1行目を読んだ時点で『ヒロインを助ける!』で頭がいっぱいになり、残り4行を全部読み飛ばすからです。

 そして、上みたいに割り込まれたときグダるのは、エモシを回しているGM(KP)ほど肌身で感じることではないでしょうか?

 そんなわけで、描写の順番を変えましょう。

 最奥の部屋は、おぞましい光景が広がっていた。

 周囲には蛇をかたどった禍々しい装飾がほどこされ、
 祭壇にはバラバラにされた血みどろの羊が並んでいる。

 その祭壇の前には、司祭がいる。
「ようこそ、PC1。今こそ我が大願は果たされる」

 けれど、そのどれも、PC1にとっては関係がないことだった。
 愛するヒロインが、司祭の背後。祭壇の奥にはりつけにされていたからだ。

 これなら、描写ガン無視で走り出すPC1は減る気がしませんか?

 だって、『祭壇前に司祭』『祭壇奥にヒロイン』って、あなた読んだでしょう? まず司祭を殴り倒そうって思うでしょう?
 思うって言え!(強制)

 ここで大事なのは、繰り返しになりますが『描写の順番』です。
 PCが一番アクションをとりたくなるタイミングを、一番後ろに回しているわけです。

補足: 他人のシナリオを回すときも大事だよ

 まとめると。

『”PLがアクションしたくなる描写”を、一息つける場所に回そう』

 こういうことです。

 で、これは『他人のシナリオを、自分がGM(KP)としてセッションする時』にも大事になります。
 むしろ、これが真骨頂。これができるなら、あなたはGM(KP)として最上位にいる、と言っても過言ではありません。

 私も、シナリオを何本か作っている身なのでわかりますが。

『他人向けのシナリオとして書く都合上、描写の順序が全GM(KP)にとってベストでなくなる』

 ってときは、あるのです。

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 そんなとき。

「この描写、順序を入れ替えたほうが、PL/PCにとってエモいな」

 こう判断できるようになれば、あなたはGM(KP)としてワンステップ上に行けます。

 この見出しは、だいぶフワッとした内容になってしまいましたが。
 ちょっと心に留めていただければ、なによりです。

まとめ

 というわけで。今回は、

『描写の順序で、こんなに違うマスタリング』

 について解説しました。

 もし「せやかて工藤!」みたいな方がいれば、ぜひTwitterPeingお問い合わせから一声ください。
 DMとかもお待ちしています。今回は結構センシティブな記事を書いたので、むしろこれを起点にSNSで議論をしたいです……宣伝にもなるしな!!!!

 それでは、明日もよいTRPGライフを。

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