【シナリオ作るならぜひ読んで!】情報収集の役割と使い方

 皆様、本日も楽しいTRPGライフをお過ごしでしょうか?

 GM(KP)をやるべくシナリオ執筆中?
 なるほど。ところで、こんなことで悩んでいたりしませんか?

  • 情報収集するのがこのゲームではお約束、なんだけど……思いつかん!
  • 最後にボスが全部シナリオのこと説明してて、かっこ悪いなぁ。
  • シナリオできたけど、これでPLにシナリオの情報が伝わるかな?

 そんなあなたのために、この記事では、GM歴25年・その間シナリオを書き続けてきたりょーさんが、

「情報項目の役割とコツ」

 について解説していきます。

情報項目って何?

 この記事では、以下のものを指して「情報項目」という言葉を使います。
 ここでは、そーいうもんなんだとご理解ください。

  • 情報項目は、キーワードと、それに紐づく数行の文章がセットになっている
  • 最初にキーワードだけ提示され、PCが判定に成功すると、文章のほうも見ることができる
  • 文章には、シナリオにかかわるナニカの説明が書いてある

 主に、FEAR社のゲームでの用語ですね。
 また、CoCだと「館や部屋に放り込まれて探索する」類の探索過程でも、ほぼ同じものを使うことになります。
 サイコロフィクションも、上のような形で進んでいくシステムは多いかと思います。

 では、この情報項目。どういう役割があるのか?
 ひとつひとつ見ていきましょう。

役割1:情報をバラして渡す

 例えば、あなたのシナリオがこうだったとします。

 ボスが、ある町で連続生贄殺人を起こす。
 動機は復讐だ。
 最後の標的はヒロインで、彼女を町の中央広場で殺し、邪神を復活させようとしている。

 この話。ラストで全部明かすには情報が多すぎますよね?

 ボスが説明するとかだと、もう最悪。
 かっこ悪いし、長くて飽きます。
 下手すると、決戦を待てずにPLが寝ちゃうかもです。

 そこで情報を1つずつ渡し、段階を踏めるのが情報項目のよいところ。

 さっきのなら、

  1. 生贄殺人 → 性別・年齢・場所に一定の規則性がある
  2. 目的 → これは邪神を復活させる儀式だ
  3. 最後の標的 → 規則性に従うと、最後の標的はヒロインだ
  4. 最後の殺害場所 → 規則性に従うと、最後の場所は中央広場だ

 あたりを中盤に渡しておけば、ラストでボスが語るのは動機だけですむ、という寸法です。

役割2:謎を忘れられるようにする

 例えばセッション序盤。
 「貴様が、故郷を奪ったのだ!」と、ボスに初顔合わせしたとき言われたとしましょう。

 そのまま終盤まで放置だと、起こりうることはふたつ。
 PLが頑張って覚えて疲れるか、力尽きて忘れてしまうか、です。
 どっちも残念な話ですね。

 一方、言われた直後に情報項目で「ボスのPCへの憎悪」が渡されたら?

 項目として手元にあるわけですから、PLが忘れてしまっても思い出せます。

 詳細を調べ終わったあと、また忘れたとしても思い出せるので、PLは安心して忘れられます。結果、セッションが快適に過ごせるわけです。

役割3:PCのデータを活かす

 情報収集にリソースを割り振ったPCがいたら、それを活かしてあげるとPLは喜びます。

 図書館に技能を振った図書館司書のPCが、〈図書館〉判定で情報を見つけたら嬉しいでしょう?
 そういうシンプルな話です。

  ただし、情報収集にPCが割けるリソースは、システムで大きく異なります。
 例えばメタリックガーディアンだと、せいぜい一般特技や財産点という形でしかなく、誰も割り振らんときは割り振らんです。

 なので、この役割の必要性も、システムにより異なります。

役割4:情報の抜けを防ぐ

 これはシナリオ作成時のメリットです。

 情報項目を作る過程で、シナリオ作成者はシナリオ情報を一定の単位で書き出しつつ入手方法を確認することになります。

 で、そのときに

  • 入手できない必須情報がないか
  • 情報が”順番に調べないと意味不明”になっていないか

 といったことを確認できます。
 要は、「詰むシナリオになるのを防げる」わけです。

結局、いい情報って? 悪い情報って?

 ここまでの「情報項目の役割」が頭に入っていれば、4つの役割を果たしているかで 「よい情報項目」かがわかります。

いくつか、例を出していきましょう

 例えば、怪獣相手にロボットで戦うシナリオだと、 「そもそも情報項目(=情報収集)はいるのか」から考えても良いと思います。

 ロボットが倒すんだからいらない、と思ったら情報項目をまるごとなしにしていいでしょう。尺は戦闘に当てれば、PLも満足です。

 「怪獣が宇宙飛行士の成れの果てだ」くらいなら、戦闘前あたりでちょちょいと伝えれば問題ないボリュームでしょう。
 忘れられても悲しいのは怪獣本人だけですし。戦闘終わったら死ぬし。

 一方、「無敵バリアを張っているので無効化方法を探そう」みたいなシナリオにするなら、無効化手段について情報項目を作ることになるでしょう。

 別の例。

 『天満ちる時に闇を捧げよ、という邪教の祈りがわかった』という情報項目は、これだけではほとんど役割を果たしていません。

 訳がわからないので、分割して情報を知る役割も、忘れられる役割もないためです。

 こういう核心から遠い情報項目だけ並べて、大事なところは全部終盤でNPCがしゃべっているシナリオ、たまに見ます。
 伏線なのか、興味を引くヒキなのかは他人ゆえ不明ですが、なんにせよ核心から遠い情報ばかりが判定のたびに出てくると、徐々にPLもテンション落ちます。興味、ヒケてません。

 この場合のオススメは、『天満ちる時に闇を捧げよ』は判定なしで渡し、細かいワードを情報項目で渡すことです。

  • 天満ちる時 → これは満月の夜を指している
  • 闇を捧げよ → これは人間の血溜まりを指している

 情報項目を調べる形で、ひとつひとつPCの手で事件を明らかにしていけるわけです。

最重要ノウハウ! 『ボスの居場所』を情報項目に入れろ

 最後にイチオシのノウハウをひとつお伝えします。
 困ったらとりあえず、『ボスの居場所』って情報項目を作りましょう。
 なぜか?

 PLは、PCたちの手でクライマックスを能動的に起こせるほうが喜ぶのです。
 そのほうが、”自分で物語を前に進めている感覚”を得やすいわけですね。

 加えて。
 『ボスの居場所』の情報項目を自然に出すとなると、勝手にシナリオが細切れの情報項目になることも多いです。

 ここで、役割1で出した例を振り返ります。

  1. 生贄殺人 → 性別・年齢・場所に一定の規則性がある
  2. 目的 → これは邪神を復活させる儀式だ
  3. 最後の標的 → 規則性に従うと、最後の標的はヒロインだ
  4. 最後の殺害場所 → 規則性に従うと、最後の場所は中央広場だ

 4が『ボスの居場所』です。
 4を知るためには1が必須(3もあったほうが動きやすい)、1から派生して2と3が生まれる、といった構造になっています。

 シナリオを書く時、『最後に、PCがボスの居場所を知る』と決めると自然とディテールが細かくなる……というと伝わるでしょうか?
 伝わってくれぇ。

まとめ

 今回、少し長くなりましたが、以下について解説しました。

  • 情報項目の役割
  • いい情報項目と悪い情報項目
  • 困ったら『ボスの居場所』って項目をいれろ!

 シナリオを書く側として、『シナリオの中身をどう伝えるか』は大事な部分かと思います。

 今回のノウハウを生かして、ぜひ “PLにシナリオの中身を理解してもらって” ください。
 そのほうが、あなたもきっと嬉しいはずです。

 それでは、明日もよいTRPGライフを。

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